2020/12/13
イギリスに住んでいた頃、在英日本人のための掲示板を覗いてみたことがある。
お店の宣伝やイギリス在住の阪神タイガースファン集まろうなどという告知もあったが、
若い女性が援助交際の相手を探している書き込みが多いのでびっくりした。
『去年から留学でロンドンに住んでる○歳です。
こっちは物価が高くて大変なので、美味しいものをごちそうしてくれたりお小遣いをくれる優しいおじさまを探してます。連絡はこちらまで ○△□』
こんな感じの文がうんざりするほど目に入ってくる。
Twitterもパパ活という言葉もまだない頃で
援助からの連想だろう『あしながおじさん探してます』と書く女の子もいたが
物語のタイトルをこんな風に活用されては作者も大迷惑である。
どこの親でも大切な娘が海外で一人暮らしなんて何かと心配だろう、
でも勉強したいことがあるのなら頑張っておいでと送り出した娘が よく知らないオッサン相手に自分を売ってるなんて知ったらどんな気持ちがするだろう。
なんだか暗い気持ちになってパソコンを閉じた。
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それからしばらくしてロンドンで買い物をした時、
ついでに肩凝りのケアもしてもらおうと日本人が経営するマッサージ屋さんに行った。
私は凝りをほぐす程度の施術だったが、その店はアロマセラピーも人気という。
私はアロマセラピーについて、いい香りの植物オイルでマッサージしてリラックス?程度の浅すぎる知識しかなかったが
頭痛や不眠や炎症が改善されるなどの効能が認められていて フランスでは医療行為とされるほど奥深いものらしい。
待合室に座っていると、白いシャツを着て髪を後ろでまとめた二十歳くらいの女の子が入ってきて
頭を下げると「突然すみません」と受付のお姉さんに話し始めた。
自分はアロマセラピーの勉強をするためイギリスに来た。
目標としていた○○のディプロマ(資格)を取得したが帰国予定日まで時間があるので少しでも実践的なことがしたい。
私がこちらでお手伝いできることがあったら無給でいいから使ってほしい。
丁寧な中に熱意を感じる話し方だった。
お姉さんは、申し訳ないが現在スタッフが足りない状態ではないので…と伝えていたが
断るのが本当に不本意な様子で、できるだけ女の子が傷つくことがないよう言葉を選んでいるのが分かった。
女の子は「ありがとうございました」と深くお辞儀をして出ていった。
女の子の姿が見えなくなると、私の連れは
「偉いなぁ、感動したよ」と言った。
「やりたいことのために何のつてもない所に飛び込んで、なかなかできることじゃないよ」
私も同じ気持ちだった。
まして私は 浅ましい書き込みを見て「今の若い子は何を考えてるんだか」と思った後だったから
ちょっと羨ましくなるほど彼女の情熱と行動力に心を打たれた。
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同じような年で同じ街に留学して、
ある子は空いた時間にお金のあるオジサンと遊んで ある子は空いた時間に自分の技能を高めたいという。
自分はこうなりたいという明確なものがある人は強くて軽やかだ。
ほんの数分話を立ち聞きしただけだが、若い人に教えられたなと思った。
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しかし最近「パパ活」なんて、レジャーかバイトのような軽い言い方をするのは 罪悪感を薄めるためだろうか。
言い方を変えても それは売春みたいなものだよ、
自分の尊厳を切り売りしてることだよ?と言いたくなる。
性的な関係があっても無くても、気持ちが求めてない相手と接触できる距離で過ごすというのは
お金のために自分の心を殺す行為
男性から見たパパ活ガールは『カネのために好きでもない男に媚びてくっついてく卑しい女』で
女子から見たパパ活男性は『お金を出してでも若い子と触れ合いたいというスケベなオジサン』だ
需要と供給は合致してるけど、お互い見下し合っているということに彼らは気づいているのだろうか
2020.12.13
お読みいただきありがとうございました
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