2019/08/28
お稽古ごとの意味
20代半ばで独身という頃、
仕事にも慣れて時間的な余裕もでき 習い事をする女性が周りに増えた。
私自身は母の勧めで茶道(裏千家)を習っていた。
両手に物を持っていると足で扉を開けるような女子力のない自分だったが、
一年もしないうちに所作や姿勢の良さを誉められるようになったのだから 親の言うことは聞いてみるものだ。
他にもアナウンス教室へ行く人 パン教室へ通う人など、皆それぞれ楽しそうだった。
一才上のある友人は時間的・金銭的余裕はあるけど習い事をするつもりはないらしい。
「それを習ってお金を取れるレベルになるならいいけど、漠然とやってても意味がないでしょ」と言う。
家でゴロゴロしてるよりは 少しでも何かしら学んだ方が有意義な気もするけど、
まあ考え方は人それぞれだろう。
先生や選手になって稼げないなら習う意味なしと言うなら
ほとんどの習い事や部活はムダってこと?と思ったけど黙っておいた。
あれから十年以上が過ぎた。
私は夫の仕事で海外に住むことになった時、
茶道のお免状があるということで 現地の交流会や学校イベントでお声がかかり 少しだけお役に立てた。
茶道を習い ある程度お道具を揃え、破損を心配しながらも水差や茶碗を持ってきて良かった。
なんとなく心が落ち着くから続けていたことだけど
日本から遠く離れた国で喜んでもらえて コミュニケーションのきっかけになったことが嬉しかった。
パンを習っていた子は、その技術がそのまま美味しい朝食やおやつ作りに役立っている。
朝、焼き立てパンの香りで目が覚めるなんて家族は幸せだなぁ
子供はお母さんを見ているせいか、男の子だけどお菓子作りが上手い。
アナウンスを習っていた子は当初の目標だったブライダルの司会は諦めたらしいけど、
時々依頼されるカラオケ大会の司会で定収入とは別の収入が得られて助かると言う。
普段会わないような色んな職種の人に会えるのもいい刺激らしい。
目標を立てて必死に努力するという習い事も大切だけど
ゆるく続けていたことが 思いがけない場面で役立ったり生活の潤いになることもある。
何かを学んだけど意味なかった…なんてことはない。
わけあって続かなかったとしても、知らない扉を開けてみた自分のチャレンジ精神を褒めてあげたい。