2023/03/09
ずるい男
ブログを始めたばかりの時
始めてたくさんの反応をいただいて 続けていけそうな手応えになった記事です
懐かしくなって再アップしてみました♪
それではどうぞ↓
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F氏は 社会に出たばかりの私が初めて遭遇したthe大人の男性という感じの人だった
今は何をしているか知らないが、固いところにお勤めだったので多分そこにいるのだろう。
年齢は自分と4~5歳しか変わらなかったけど それより落ち着いて見えた
職場でスポーツをする集まりのまとめ役で 後輩の男子たちからも慕われていた
身長は高かったけど顔立ちは普通よりやや整ってる程度で 目立つようなイケメンではない。
でも飲み会なんかに参加すると、彼の隣に座った女の子たちはみんな骨抜きにされてしまう
あるいは 隠しても分かる感じで 女性たちが彼の近くに行きたがる
蜜のような罠のような存在。
男の子がF氏に何か相談して、彼がうんうんと聞いている様子は
兄と弟みたいな温かくて信頼し合ってる空気が漂っていて
女の子がF氏に何か話しかけて、彼が聞いているときは
付き合ってる二人みたいなしっとりした空気が漂っていた。
飲み物どうする?という程度の会話を交わすだけでも
男女年齢問わず 相手の瞳の奥まで届きそうなほど しっかりと見つめながら伝えるのが常で
誰かと1分足らずのやり取りをしているだけでも、邪魔しちゃいけないと思わせる空気を作る。
相手が小学生だろうと 商店のおじちゃんだろうと
きっとあんな感じなんだろうと思うほど、自然にそれをやっている
あんなふうに一瞬で距離を縮めるなんて 真似しようと思ってもできるものではないし、
一種の才能なんだろう
私は 明るくて面白い同い年の彼氏がいるのに友人と同じ人を好きになってしまう…みたいな
厄介なことになるのは嫌だから、
うっかり撃ち抜かれたりしないためにも 近づき過ぎないようにしていた。
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ある夜 10人くらいで飲食したあと、F氏が私を駅まで送ってくれることになった🌙
歩きながら「寒くない?」とか気遣ってくれるF氏に
「そんなに無闇に優しいと誤解されるんじゃないですか」と私が言うと
彼は少し驚いて、自分は至って普通にみんなと接していると言う
やはり生まれ持った気質らしい
あとは音楽とか無難な話をしながら歩いて、駅に到着したところでお礼を伝える。
電車に乗るために それではと背を向けかけた時、
不意にF氏が
「唇が魅力的だ」みたいなことを言った
女の子がみんな捕まってしまう あの目で。
動揺を見せないようにしながら「唇だけですか?」と私が尋ねると
彼はふっと笑って何か答えたが
電車がホームに滑り込んでくる音で 聞き取ることができなかった。
2020.5.9
お読みいただきありがとうございました。
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